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夜のしじまにシングルモルト


知っていたからといって、お酒がうまくなるわけではありません。
酒屋さんで買うときに、お店でつけている簡単な案内表示がちょっとだけわかりやすくなります。
本稿は、筆者渾身の耳学問の成果を書いてしまう無謀な企てでもあります。
配列は思いつくまま順不同です。
ときどき、ところどころで書き加えたりしています。

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モルト(malt)

シングルモルト・ウイスキーの原料穀物である大麦の麦芽のこと。
大麦のブランド(お米でいうコシヒカリのようなもの)ではゴールデンプロミスがウイスキーに用いられるが、そうでないものも使われるようである。

モルティング(malting)とピート焚き

水分を与えて大麦を発芽させる工程。そのあとは、成長をとめるため熱風乾燥する。このときに熱源として用いるのがピート(草炭、泥炭)。麦芽に火の匂い、煙の匂いを含ませる。その度合いは銘柄によっていろいろである。
現在では、ピートのみで乾燥させるより、ピートは香りづけとして用い、熱風は石炭などほかの熱源を使うようである。

キルン

麦芽乾燥塔。

フロア・モルティング

床に大麦を散布して水やり発芽させる方法。職人がスコップで見事に均一に散布したのである。こうして均一に揃ったモルティングを行った。筆者が邪推するには、大麦の発芽時期や澱粉の糖化にばらつきがなく、すべてをきれいに同時期に進行させるためであろうと思う。現在ではあまり行われていない。ラフロイグ(Laphloaig Distelery)のHPにこのイラストと写真が載っている。
また、グレンゴイン10年の化粧缶にはフロアモルティングする職人の写真が印刷してある。
(注:この項目、不確か)

シングルモルト・ウイスキー

モルトウイスキーの蒸溜所が、瓶詰めしているウイスキーである。中身はもちろんモルトウイスキー。

シングルモルト・ウイスキーの区分

味わいの特徴などでいくつかの地域にわけている。
シングルモルト・ウイスキー産地略図参照。

ピュアモルト

シングルモルトとまぎらわしいが、シングルモルトといわずにこういうのには訳があるのだろう。語の用法に決まりはないようであるから、各社で意味するところが違うのかもしれない。原料大麦の銘柄が一種類でない、ヴァッティングしている、などのようである。

ヴァッテド・モルト

異なったモルトウイスキーどうしを合わせたモルトウイスキー。自社の熟成で、熟成年数、熟成樽の由来のことなるもの、銘柄の異なるモルトウイスキーを合わせるものなど。

ブレンデッド・ウイスキー

ウイスキーの原料穀物は大麦のほか、トウモロコシや小麦がある。これらをグレーンと言っている。グレーンを主体に造ったウイスキーをグレーンウイスキーという。多くのウイスキーはグレーンウイスキーを主にいろいろなモルトウイスキーを配合して造られるが、これらをブレンデッド・ウイスキーと呼んでいる。
なお、シングルモルト・ファンの中には、ブレンデッドを軽視する方もおられるとか。筆者はブレンデッドも好きである。どちらかというときついシングルモルトばかりも飽きますから、やわらかみを加えたうまいブレンデッドに出会うのもうれしいものである。

ボトラーズ・ブランド

イギリスには独立瓶詰め業者という酒類販売業があり、蒸溜所から樽ごとウイスキーを買い入れ、自分たちで熟成を重ねたウイスキーを瓶詰めして売り出す。これらをボトラーズ・ブランドと呼んでいる。中にはかなり古い、現在では操業していない蒸溜所の原酒さえ持っていて、少量瓶詰めして売り出したりする。概して高価なウイスキーである。

カスク・ストレングス

樽出し原酒。シングルモルト・ウイスキーといえども、水を加えてアルコール度数を均一にして瓶詰めするなどの工程がある。カスクストレングスは、わずかなフィルター処理で加え水なしで瓶詰めしたもの。アルコール度数は60度(60%アルコール)前後と高い。その酒の生の個性が瓶詰めされている。もちろんうまい。もちろん高い。名品では、樽番号、瓶詰めのシリアル番号、主任のサイン、年月日などがラベルに手書きされている。
たとえば1つの樽から200本の瓶詰めがなされたとする。樽からサイフォンのようなもので1本1本瓶詰めするとき、さて、何本目ぐらいが最良のウイスキーとなるのだろう? シリアル番号は伊達に記されているわけではない、らしいのである。(真ん中辺、らしい。が、こんな高級品買ったことはおろか飲んだこともないから分からない)

単式蒸溜釜

モルト・ウイスキーの蒸溜に用いる蒸溜釜。お椀を伏せたような形の上部にスワンネックといわれる管が伸びている。この形状は、長いものや短いものなど、蒸溜所によってさまざま。それが個性を醸し出すといわれ、作り直すときにも全く同材料同形にするほどのこだわり。ウイスキー蒸溜所といえばまずこの蒸留釜の写真が現れる。大小二つがペアになっている。
なお、グレーンウイスキーの蒸溜には連続蒸溜釜というのを使う。こちらはもっと近代的な設備らしい。

シェリー樽・バーボン樽

蒸溜したては無色透明のアルコール水。熟成によってウイスキーに変身する。熟成には樫の樽が使われる。多くの場合、新樽でなく、スペインのシェリー酒の古樽、アメリカからバーボンの古樽を買い入れ、熟成に使う。こうして、ウイスキーに前酒由来や熟成の風味、独特の色合いを加えるのである。樽は数十年使われるという。このほか、ポルトガルのポートワインやマデラワインの樽も使う銘柄もある。

酒造りに良水は欠くことができない。
またしても、不確かなことを書いてしまうが、『ブルー・ハイウェイ』という80年代に売れたアメリカ小説の中に、こんなくだりがあった、と思う。
……ケンタッキーの地層は石灰分を多く含む。その牧草地で育つ馬は丈夫な骨となり、すぐれたダービー馬となる(ケンタッキー・ダービー)。……
そして以下はPOUZMILの想像。その地層をくぐって湧いた水は、おいしいバーボンとなる?(ケンタッキー・バーボン)

熟成

樽詰めした原酒は熟成倉庫で数年から、ものによっては数十年熟成される。熟成中に樽の板を通して外気の影響を受ける。熟成10年ぐらいから、瓶詰め商品となって現れる。
ビールなどのように、熟成中に醗酵ガスによる強い内圧増加を受けないため、熟成樽の板厚は薄いもののようである。長年月の熟成期間中は樽外からの風土の影響があるのは納得できる。
なお、どの熟成倉でも、気温・湿度・風通しなど最高の場所がある。そして最良の熟成ができる。こうした場所の酒は王室用とか各国王族・貴族にリザーブされているらしい。しょせん平民は……。

テイスティング

味見、利き酒。色、香り、味わい、後味などを楽しむ飲み方。
細長いテイスティング・グラスが適している。

ウイスキーグラス

ウイスキー用のグラスには
1.オールドファッションド・グラス:オン・ザ・ロック用。最近は、ずん胴でなく、やや小ぶりで底がすぼまっている形が流行。
2.タンブラー・グラス:水割り用
3.テイステイング・グラス:ストレート用
4.ショット・グラス:ストレート用
などがある。テイステイング・グラスはなかなか見つからないかもしれない。酒場用に半ダース単位の販売だったりする。代用としてはコニャック用のコニサー・グラスなどがよい。筆者もこれを愛用。細長くてグラスの中に揮発した香りが溜まるもので、ステム(脚)のあるグラスがいい。ワイングラスでもいいのだが、ちょっと大きすぎる。
ショットグラスはワンショットをストレートで飲む小さなグラス。西部劇なんかの酒場で、カウボーイも決闘前のガンマンもフーリガン(与太者)もカッとあおりますね、これで。なんだか格好良くてやってみたくなりますが、シングルモルトには向かない飲み方です(レモンハート151やロンリコ151でやりましょう。ひっくりかえります。なにしろ75.5%アルコール! それ以後の事態がどうなろうと、筆者は一切責任とりませんから、own riskでお願いします)。

飲み方

シングルモルト飲みはウイスキーの個性を楽しむというところから、ストレートないし少しの割り水(1:1ぐらい)という飲み方をする。
氷も使わないほうがいい。いわゆる水割り(割り水比1:2から3)式の飲み方は、シングルモルトには向かない。
テイスティングのように、色・香り・口内に広がる味わい・嚥下後の余韻を楽しむ。しかし、精神状態とか、疲れているときなんかは、いつもの味が味わえなくなる。そのようなときには飲酒はしないほうが得策。変な深酒をしてしまうことになる。

ノージング

グラスに鼻を近づけて香りをきく所作。
スコッチウイスキーの広告写真などで、しばしば見かけると思う。
グラスに注いですぐはまだ香りが出てこないから、3、4分待ってみる。我慢ができるなら20分ぐらい待ってノージングすると、驚くほど薫るものがある。まあ、バーで20分もグラスに手をつけないのも奇異ですが、しばらくは時間をおきましょう。バーテンダー氏がそっと、すこし待ったほうが香りがでますよ、と教えてくれます。

マイケル・ジャクソン この世界で、マイケル・ジャクソンといえば、歌手のことではない。
同姓同名のウイスキー評論家を指す。著書『モルトウイスキー・コンパニオン』が邦訳されている(2000年、小学館・3150円)。
バーテンダー

お酒のナヴィゲーターである。いろいろと教えてもらえる。

バー

一般的に、洋酒を飲むお店。
入り口外などに、譜面台のようなものがしつらえられ、お酒の値段などが書いてある。予算4〜5千円ぐらいで、そういうお店に入るのがよい。
本ページで飲象する銘柄は、ほぼ、1ショット(約30mL程度)夏目石1個から+カケラぐらいの値段であろう。
(夏目石1個は昨今の交換レートでは約1000円前後を上下)

サントリーバー

かつては各町々にあったが、最近では少なくなったようである。

「洋酒天国」

昭和30年代、洋酒の寿屋(現サントリー)が発行していたPR誌。
B6判(?)で32〜48ページぐらいの冊子。連載エッセイ、ショートショート(ヨーテンミステリー)、特集などで構成され、一部フルカラーであった。当時としては実にお洒落。なお、中綴じのセンターフォールドには、また当時としては画期的に女性の撮り下ろしPIN-UPセミヌード・カラー写真などもある。私は酒など飲まない野球好きの小学生であったが、美人さんに胸ときめいたものである。この辺は、米誌「PLAYBOY」などを意識していたのかもしれない。
子供の頃、我が家に数十冊の「洋酒天国」があった。今でも持っていれば「お宝」であった。惜しいことをしたものである。

アンクル・トリス 現在、サントリーは「トリス」銘柄のウイスキーを出していないようである。アンクル・トリスはトリスウイスキーのキャラクー。TV-CF、雑誌媒体などに出現していた。短躯。ウイスキーを飲むと、顔の下から多分、赤くなっていく(多分、というのは当時、テレビは白黒でグレーにしか映らないので)。5杯ぐらいで真っ赤となる。
アニメのTV-CFはたとえば、こうである。……
深夜、アンクル・トリス氏宅の上空にUFOが現れ、宇宙人がトリス氏宅に侵入する。何事か、一生懸命トリス氏にしゃべるのだが、言葉がわからない。困ったトリス氏はトリスウイスキーを1杯勧める。宇宙人は喜んで、何杯もおかわりして飲むと、感激してトリス氏と握手。UFOに戻り、酩酊飛行で去っていくのであった。……。
あるいは…
アメリカ西部開拓時代、酒場で名うての「悪」がからんでいる。バー(サルーン)のスイングドアを開けてアンクル・トリス氏登場。ベストに保安官の★バッジ、腰にはレボルバー。悪を拳でたやすく成敗。去るトリス保安官の後ろ姿にバーテンダーがつぶやく。「いつ見てもいい男だなあ」……。
ウイスキーを作る

ヨーロッパでは、国によるが、自家消費なら酒を自作してもよいということである。我が国では作ってはいけない(後進国である)。しかし、趣味としてこっそりと、いわゆるドブロク系のお酒を造って楽しむ方もいらっしゃるようである。
我が国でも、お酒に混ぜ物をするのは構わないようだ。したがってお酒に果実を漬け込むのは大いに行われている。
シングルモルトどうしを混ぜてみるのは、ときどきやってみるが、よい結果は出ない。やはりむずかしい。専門家の世界である。そして、専門家の真似をしたがるのが、トーシローのさが、でもある。
ウイスキーに一風変わった味わいを加えるのはそんなにむずかしくない。いずれ、結果を当HPで発表したい(しかし、あんまり期待しないでね)

ボトル1本空けられないで男か

ずいぶん昔、沢たまきさんが、こう酔眼でのたまうTV-CFがあって、世の男性の多くはたじろいだはず。私もポケット瓶なら何とか空くが大瓶は全然無理。まあ、鯨飲、痛飲で通院するようなことにならないように飲むのがお酒。ここでお詫び。昔、井の頭線の最終で車内で吐瀉したのは、この私だ。その2。タクシーで首都高走行中、窓を開けて吐瀉したのは、この私だ。その節はご迷惑おかけしました。それと、地下鉄の駅でブッ倒れていたとき、おれの腕時計と、空っぽのサイフ持っていった奴は誰だ。

チェイサー

すすぎ水。ストレートで飲むのは、胃への負担もある。そこでこのすすぎ水をすこしずつ飲む。なるべくならミネラルウォーター。水道水は×。筆者は主に自宅の井戸水なんかを使用している。以前、バーテンダー氏が、「その酒を造ったのと同じ泉の水が最良」と教えてくれたが「そんなのを入手するのは絶対無理」とも。
筆者はこの夏、麦茶を試してみた。悪くはないとは思ったが、諸賢はいかがであろうか? ただ、ウイスキーの麦茶割りはやめたほうがよいと思う。

ボウモアの変な味について アイラモルト「Bowmore」はファンの多いシングルモルトらしい。ボウモアの純白の化粧筒に描かれた小舟、波立つ海、飛ぶカモメ…ついロマンチックな海にそそられて買ったりすると大変な目にあうウイスキーである。この海は荒々しい海なのだ。漁船のディーゼルエンジンのオイル味が感じられる。そのほかにも、よく分からない味があって、「いったいこれは何なんだろう?」とずっと考えていた。味のインデックスにない味なのである。やっとそれが分かった、というか比喩としての表し方であるが、これは焼いた貝殻の味である。石灰味といってもいいのかも知れない。そんなもの私も食べたことも舐めたこともないが、とにかくそうなのだ。
以下、思いつき次第、つづく。

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